慶應義塾大学医療系三学部合同教育

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2016年度の後期プログラム

日程

2016年5月7日(土)9:30~17:00

場所

信濃町キャンパス・芝共立キャンパス(2キャンパス同時開催)

参加者

合計  355名
・医学部6年  108名
・看護医療学部4年  89名
・薬学部薬学科6年  158名

概要

腎代替療法の治療選択に関わるケースシナリオ2本について、医看薬混成10-11名×18グループ×2キャンパスに分かれてディスカッションし、「今後の医療・ケア計画」をプレゼンテーションしました。

平成28年5月7日(土)に、信濃町および芝共立キャンパスにおいて、「医療系三学部合同後期教育」が実施され、医学部・薬学部の6年生および看護医療学部の4年生の総勢355名が信濃町キャンパスと芝共立キャンパスに集合しました。
最初に、医学部教員による「腎代替療法に関する事前講義」で知識共有を行い、次に薬学部教員による「グループワークの進め方」について説明が行われました。その後、学生達は各キャンパスで18グループ(1グループ10~11名)に分かれて小教室に移動し、グループワークに取り組みました。
まずアイスブレークとして「他己紹介」を行った後、司会者、発表者および記録者を決め、事前に配布しておいたシナリオA(自力通院困難で、軽い認知症がある高齢の女性)あるいはシナリオB(糖尿病性腎症患者で、きわめてアドヒアランスが悪い男性)に基づいて、模造紙、ホワイトボード、付箋紙などを自由に使いながらグループディスカッションを行い、「患者が現在抱えるプロブレム」を挙げました。次に、医師、看護師および薬剤師を含むチームカンファランスを想定し、そこに提案する「今後の医療、ケア計画」を討議して、A4用紙2枚程度の発表資料としてまとめました。グループごとに和やかな雰囲気のなかで、昼食時間も含め約4時間のグループディスカッションを行いました。各グループにはファシリテーターとして各学部の教員1~2名が参加し、適宜助言を行いました。今年度は、各職種の立場で「この症例にどのような介入が必要だと考えますか」という事前課題に各自取り組んだうえでディスカッションに臨んだこともあり、多くのグループで非常に活発で中身の濃いディスカッションが展開されました。
次に、同じシナリオを討議した3グループが中教室に集まり、5分ずつ書画カメラを用いて発表を行い、代表発表グループを決定しました。大教室に全18グループが集合し、シナリオAおよびシナリオBについてそれぞれ3つの代表グループによりプレゼンテーションが行われ、各発表に対する質疑応答が行われました。発表では、患者の病態解析や治療方法についてだけでなく、患者とその家族の思いや不安にまで踏み込んだ医療・ケア計画が策定され、臨床実習を体験した各学部最高学年同士ならではの成果として、各職種の特徴を活かした質の高いアプローチが多数発表されました。
全体発表・討論のあとには、医学部教員によるフィードバックが行われ、実臨床での経験も交え、学生にとって印象に残る解説が行われました。
終了後に実施したアンケート調査では、本プログラムについて、医学部学生では「大変よい」・「よい」が82%を占め、看護医療学部では96%、薬学部では90%と、例年より高い評価が得られました。
「自分の専門職種だけの観点で患者さんの抱える問題を考えていたが、1日のグループワークを通じて、他の職種の視点を学び、患者さんを全人的に見ることができるようになった」という声が多数聞かれ、3回にわたる医療系三学部合同教育の教育目的が達成できているようでした。来年度からは、実際の医療現場でともに働き、すばらしいチーム医療を実践してほしいと思います。